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<サッカーダイジェスト>プロビンチャであることの自覚がこれからの鹿島を支える

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小さな町クラブである鹿島アントラーズがここまでどうしてタイトルを獲り続けてこれたかについてサッカーダイジェストウェブで紹介されました。

なぜプロビンチャの鹿島がタイトル数で独走するのか? 戦力強化の「勝ち組と負け組」

J1リーグはいよいよクライマックス。残り4試合で、首位鹿島を2位の川崎が勝点2ポイント差で追う白熱の展開となっている。鹿島が2年連続9回目の優勝を達成するのか、川崎が悲願の初優勝を遂げるのか、それともこの2チーム以外による大逆転はあるのか――。しかし、Jリーグ開幕からの25年という視点で見るなら、鹿島はタイトル数で他クラブの追随を許さない。

 創設から四半世紀が過ぎたJリーグの補強史を紐解けば、浮かび上がるのは戦力強化の「勝ち組」と「負け組」。典型的なプロビンチャである鹿島が成功し、大都市クラブが試行錯誤を続けている背景にあるものとは?
(※『サッカーダイジェスト』10月26日号より抜粋)

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この四半世紀、鹿島だけが大きなスランプに陥らず、ブレずにコンセプトを貫いてきた。

この四半世紀、鹿島だけが大きなスランプに陥らず、ブレずにコンセプトを貫いてきた。

96年の初優勝以来、リーグを8度制覇している鹿島。今季のリーグ戦を制すれば、クラブとして20冠目となる。(C) SOCCER DIGEST

Jリーグ創設からの四半世紀は、世界でも例を見ない歴史を刻み込んだ。

 最も成功したクラブが、最も小さな街にある。鹿嶋市の人口は、埼玉スタジアムにほんの少しだけ収まり切らない程度で、典型的なプロビンチャである。ところが鹿島は、まったく大都市の人気クラブの追随を許さない。時代ごとにライバルは変わっても安定して優勝争いに顔を出し、間もなく20個目(リーグ、天皇杯、リーグカップが対象)のタイトルを手にしようとしている。

 その鹿島をタイトル数で追いかけるG大阪は、ACLというビッグタイトルを加えても9個。かつて、2強としてしのぎを削った磐田と、草創期のライバル・東京Vが7個で肩を並べ、ACL制覇の勲章付きの浦和と、鹿島とともに降格がない横浜が6個と続く。いずれにしても全クラブが鹿島の半分以下に甘んじているのだ。しかも鹿島は1996年に初めてリーグ制覇を成し遂げてからクラブワールドカップで世界2位を占めた昨年まで、万遍なくタイトルを手にしている。G大阪や浦和の初戴冠は今世紀に入ってからで、J2暮らしが長引く東京Vはもちろん、磐田も最近5年間はタイトルと無縁。20 年間にタイトルが分散する横浜も密度で及ばない。つまり鹿島だけが、大きなスランプに陥らず、計画的に戦力を整備し、ブレずにコンセプトを貫いてきたことになる。

 鹿島成功の根源は、言うまでもなくジーコとの出会いだ。ブラジル屈指のスーパースターは、一度引退をして現役選手としては高齢だったが、プロという未知の世界に踏み出そう とする鹿島にとっては格好の伝道師だった。ジーコは連日鬼の形相で、ピッチ内から私生活までプロとしてあるべき姿勢を説き続けた。

 来日当初の住友金属時代にチームを指揮していたのが、以後一貫して強化を司る鈴木満だが「とにかく相手は年上のスター。すべて教わってしまおうと割り切った」と言う。クラブの思惑通り、ジーコ効果はしっかりと浸透した。遠征に出れば、ビールで喉を潤しながら現地の名産に舌鼓を打つのを楽しみにしていた選手たちが、試合前夜は外出もせずにイメージトレーニングに集中するようになった。牽引するのが神のような存在だったからこそ、短期間にロスなく闘う集団へと変貌できたのかもしれない。

J草創期、ある高校の監督は「鹿島のスカウトだけは、普段の練習を見に来る」と話していた。

J草創期、ある高校の監督は「鹿島のスカウトだけは、普段の練習を見に来る」と話していた。

鹿島は、柴崎岳(写真)など有力な高卒選手をターゲットに強化を進め、近年ではユースも成果を上げている。(C) SOCCER DIGEST

ジーコ効果は、自身が退いてからも続いた。ジョルジーニョ、レオナルドなど素晴らしい現役の手本や、名将たちが次々にやって来てチームを支えた。名良橋晃がジョルジーニョから学び、大迫勇也はマルキーニョスとともにプレーをした。

 また柴崎岳が入団すれば小笠原満男の隣に配し、将来を担う昌子源や植田直通を獲得すれば、時にはチームの成績以上に彼らの成長促進を優先した。そしてアジア枠以外の助っ人はブラジル路線を、フォーメーションも基本的には4-4-2を貫く。強化責任者が変わらず中長期を見据えて見事な手腕を発揮するから、選手が育ち、スムーズな世代交代が繰り返さ れ、栄冠が連なった。

 だから鹿島には、ほとんど獲り逃しがない。地域的なハンディを抱えた鹿島の主なターゲットは高体連で、トップ登録28人中8人が高卒で入団している。明らかにJのトレンドと は乖離し、浦和、G大阪に現在トッ プチームに絡む高卒組は不在で、柏も大津祐樹ただひとりだ。ユース以下の段階で、小さな街に素材を集めてくるのは限界がある。その分綿密なスカウティングで隠れたタレントを見極め、同時に競合必至の有望株を確実に呼び込む。

 ある高校の監督が「鹿島のスカウトだけは、普段の練習を見に来る」と話していたのが、J草創期の頃だった。大迫、柴崎、植田ら高校で傑出した競合選手を誘うには、どんな条件提示や言葉より、 四半世紀の実績が説得材料になる。しかも鹿島は進化を続けている。石井正忠―大岩剛と指導者育成も進み、最近は土居聖真に象徴されるようにユースからの昇格組も目立つようになり、今年も6人がトップ登録者に組み込まれている。

柏の成功が継続すれば日本にこびりついた概念が薄れていくかもしれない。

柏の成功が継続すれば日本にこびりついた概念が薄れていくかもしれない。

写真の中山雄太など、柏は充実した下部組織をベースにチーム作りを推し進め、今季はACL出場権を窺う。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

一方G大阪や柏は、自前の育成を基盤に上位戦線に定着しつつあり、どちらも初タイトルをもたらしたのが西野朗(現日本サッカー協会技術委員長) だった。関西地方のクラブは総体的にアカデミーの活動が顕著だが、なかでもG大阪はサッカー小僧の人気、育成実績ともに抜けている。現在ユース出身のトップ登録者は5人だが、 稲本潤一を皮切りに、最近では宇佐美貴史、堂安律、井手口陽介らが次々に頭角を現わし、インパクトは強烈だ。

 だが今年の柏は、そのG大阪の倍を超える10人以上のユース育ちを登録し、国内では常識破りの若いチームで旋風を巻き起こした。ユースでの指導実績を持つ下平隆宏監督が指揮を執り、コ ンセプトがアカデミーまで一貫しているので、今後も自給自足の精度向 上が見込める。逆に外国人選手を除けば、他クラブから獲得したのは精選した4選手のみ。

 思い出すのは、 一時期低迷を極めたサントスが、10代だったジエゴ、ロビーニョを中心にブラジル制覇を成し遂げたケースだが、もし柏の成功が継続すれば「年功序列」「実績偏重」「結果至上」など、日本にこびりついた概念も薄れていくのかもしれない。

ユース出身のトップ登録選手が10人になったFC東京だが、トップに勢いをつける突き上げは?

ユース出身のトップ登録選手が10人になったFC東京だが、トップに勢いをつける突き上げは?

15歳で久保建英がトップデビューを果たしたFC東京だが、トップに勢いをもたらすような突き上げは生まれていない。写真:サッカーダイジェスト写真部

それに対し日本屈指の人気クラブ浦和は、結果という命題を前に舵取りが揺れ動いてきた。2009年に就任したフォルカー・フィンケ監督は、ユース日本一になったチームから原口元気、山田直輝、高橋峻希らを躊躇なく抜擢し、シーズン途中までは溌剌としたサッカーを展開した。しかし成績不振で退任し、やがて転換期を迎えると、広島で成功したミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘し長期政権が続いた。同監督は「ウチはレアル・マドリーではない」と繰り返し、再三日本サッカーの結果至上を嘆いた。だが育成重視の流れは分断され、今ではユースからの昇格者は矢島慎也しかいない。27人の戦力の大半を外部からの補強選手が占め、即戦力購入に絞ったチーム作りは、皮肉にも「結果至上」に映る。

 また大型補強が話題をさらったFC東京も、試行錯誤が続く。他のクラブに先駆けて独自の育成ビジョンを打ち出し、J3に参戦するU-23を加えて2チーム分の選手たちをトップの練習で競わせた。当然目標は、育成した選手の開花促進である。現在ユース出身のトップ登録選手は 10 人(特別強化指定と大学経由は除く) で、うちトップの公式戦を経験したのが7人。悪い数字ではないが、トップに勢いをつける突き上げは見られなかった。

 ただし、こうしたJ1の常連クラブ以上に現実至上に傾きがちなのが、多くの後続クラブだ。例えば甲府は、13年に返り咲いてから4シーズンJ1に定着しているが、毎年残留が最大の目標になり、助っ人に運命を託す堅守速攻型から抜け出せない。今年もドゥドゥ、リンスの2トップが生命線で、最初にJ1に昇格し「サッカーはエンターテイメントだ」と言い切った大木武監督時代とは対照を成す。現状は大卒獲得が11人で、外部からの補強が17人(助っ人も含む)。だが、U-12は昨年のダノンカップで世界2位に輝いている。せっかくの素材を活かすためにも、どこかで育成も視野に入れる必要がある。

 働き盛りが空洞になりがちなのは輸出国の宿命だ。しかしだからこそ育てて売る循環の促進が、日本サッカー発展のカギになる。小さな街の名門は、構造整備と一貫性でリードした。次の四半世紀は、大都市のクラブからも斬新なプロジェクトの発生を期待したい。

文:加部 究(スポーツライター)

※『サッカーダイジェスト』10月26日号(同12日発売)「Jリーグの補強史から見る戦力強化の勝ち組と負け組」より抜粋

鹿島ウォッチャーは欧州サッカーがたどってきた歴史をみた時、100年後にプロビンチャーである鹿島が強くあり続けていることがどれだけ大変なことを理解し、サポーターとして少しでも何かできればとこのサイトを立ち上げました。

鹿島アントラーズのファミリーとしての理念やレジェント達が積み重ねてきた歴史を理解し、できる限りスタジアムに足を運ぶことでクラブの力となりたいと感じます。

我々サポーターも鹿島アントラーズを誇りに想い、応援していきたいですね。

頑張れ鹿島アントラーズ!

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